重要用語の基礎知識

エビデンス

試験や調査などの研究結果から導かれた、科学的な観点からの裏付けを意味する。例えば、ある介入に効果があるかどうか研究した場合に得られた結果を、その介入効果に関するエビデンスと呼ぶ。

エビデンスレベル

エビデンスにはレベルの強弱が存在
エビデンスにはレベルの強弱が存在

研究を手段・形式によってグループ分けし、それぞれのグループの信頼度の目安を基準として示したもの。主に6段階に分かれており、システマティックレビュー/メタアナリシス、ランダム化比較試験、コホート(集団観察)研究、症例対象研究、症例報告、専門家の意見や見解の順となる。研究の目的によってさまざまな研究デザインがあり、研究デザインをチェックすることで、エビデンスレベルを判断できる。

行動変容

行動変容とは、人の行動が変わることを指す。健康を保持・増進するために、日常の行動や生活習慣、ライフスタイルを望ましいものに改善する際に用いられることが多い。
行動変容ステージモデルが知られており、人が行動を変える際は、「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」「維持期」の5つのステージを通ると考えられている。

図:行動変容ステージモデル
図:行動変容ステージモデル

システマティックレビュー/メタアナリシス(メタ解析)

シスステマティックレビューは論文をもれなく検索することであり、メタアナリシスはその集めたものを統合して解析すること。メタアナリシスでは、どんな研究を集めているかが重要で、多くはランダム化比較試験に限定している。

診療ガイドライン

医療現場で適切な診断や治療の参考とするため、病気の予防・診断・治療・予後予測など診療の根拠や手順について、治療の実績や研究を踏まえて、学会などが作った診療の指針を指す。多くの情報から有効性や安全性などの情報を整理し、現時点での様々な診断・治療の推奨度を科学的根拠に基づいて示している。

リアルワールドデータ(RWD)

さまざまなソースから日常的に収集された、健康状態や医療の提供に関連したデータの総称を指す。RWDには、診療報酬明細であるレセプトデータ、電子カルテのデータ、DPC(Diagnosis Procedure Combination)データ、健診データ、患者レジストリデータ、ウェアラブルデバイスから得られるデータ(PHR; Personal Health Record)、PRO(Patient Reported Outcome)などがある。
近年、医療やデジタル技術の進展により、大量のRWDを取得、解析できるようになっており、リアルワールドデータを解析して得られた科学的根拠は「リアルワールドエビデンス(RWE)」とよばれている。

QOL

QOLは、「Quality Of Life」の略である。「Life」には「生活」だけでなく「生命」「人生」の意味もあり、広く「生活の質」「生命の質」「人生の質」にまたがった主観的な評価を指す用語である。

RCT

ランダム化比較試験、無作為化(比較)試験と同義。
試験の参加対象者を2つ以上のグループに無作為(ランダム)に分け、介入の効果を検証すること。効果を公平に比較できるため、信頼性が高い試験とされている。